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日本放課後AWARD2025開催‼

日本放課後AWARD2025授賞式を開催

2026年3月22日(日)、日本放課後AWARD2025の授賞式が開催され、全国から放課後の現場を支える多様な実践者たちが一堂に会しました。


このアワードは、放課後におけるこどもや社会全体のウェルビーイングの実現に寄与する取り組み・制度・人材を広く募集し、自薦・他薦を問わず寄せられた数多くの応募の中から、審査委員会による厳正な審査を経て受賞者が選出されるものです。


●放課後の価値を社会に届ける一日

授賞式当日は、放課後の現場で日々子どもたちと向き合う実践者、自治体関係者、研究者、企業、NPOなど、多様な立場の参加者が集まりました。

会場には、子どもたちの笑顔を支える取り組みへの敬意と、放課後の未来をともにつくろうとする前向きな熱気が満ちていました。


●受賞団体  


【地域賞】


●団体名 NEW STEP 実行委員会

●連絡先 熊本県菊池市亘37番地1

●活動歴(年) 3年

●受益者数(年間) 150名

●活動内容

"NEW STEP 実行委員会は、熊本県菊池市および熊本市を拠点に、放課後の時間を地域と共に創る教育実践を展開している団体です。2023年2月22日に設立し、「すべての子どもたちへ 人生で最高の体験を」というMissionのもと、無料学習塾事業・体験型学習事業・人材育成事業を展開しています。


中心となる「高校生が教える地域密着型無料学習塾 NEW STEP」では、家庭の経済状況に関わらずすべての子どもが学べる環境を整え、授業料は完全無料としています。年間参加者は100名を超え、基礎学力の定着に加え、自ら考え行動する力の育成を重視しています。


最大の特徴は、高校生講師16名が主体となって運営している点です。高校生は学習指導のみならず、企画立案や運営にも関わり、子どもたちの伴走者として寄り添っています。実際に、子どもたちは学習相談だけでなく、友人関係や将来の悩み、時には恋愛の相談まで打ち明けるなど、家庭や学校以外の安心できる相談先として機能しています。放課後が「心の居場所」となっていることは、本活動の大きな成果です。


体験型学習事業では、SDGsを取り入れたクラフト活動や自然体験活動「いきいき自然学校」(熊本県立菊池少年自然の家との共催)を実施し、机上の学びを実践へとつなげています。また、2025年度より菊池市市民提案型協働事業として、大学生による人材育成事業「じぶんSTUDIO」を開始し、高校生講師を経験した若者が中高生を育てる循環型モデルを構築しています。


活動は菊池市および菊池市教育委員会の後援を受け、地域と行政が連携する形で展開されています。設立2周年を迎え、40本以上のメディア掲載や県主催シンポジウムへの登壇、2023年くまもとSDGsアワード未来づくり部門優秀賞受賞など、地域からの評価も高まっています。

NEW STEP 実行委員会は、放課後を単なる支援の時間ではなく、子ども・高校生・大学生・地域が共に育ち合う「共育」の場として実践しています。地域ぐるみで子どもを育てる持続可能な放課後モデルとして、今後もその価値を広げていきます。


【審査員コメント】

高校生が中心となり学習指導を行う事例は少ない。本事業は高校生が運営を主体となり学習指導を行う他、その後に成長した若者が中高生を育てる循環モデルを構築しようとしており、先導的事例と考えられる。


高校生や大学生が主体的にこどもたちの育ちに関与している点が素晴らしい。地域での学び合い、育ち合いの輪を広げていってほしい。


高校生が中心となって、地域のこどもたちに学習支援や探究支援を行い、経済的貧困などを背景とする学習の機会の格差の是正と地域課題へのアプローチを両立している素晴らしい事例です。若者の力が循環する良い地域モデルは、他地域への展開も期待できます。



【あそび賞】


●団体名 豊田市放課後 野見小学校 のみっこ

●連絡先 愛知県豊田市松ヶ枝町3-30  

●活動歴(年) 9年

●受益者数(年間) 69名

●活動内容

自分で選び、つくり、遊ぶ

― 廃材×造形で広がる、こども主体の創作あそび ―


放課後児童クラブ「のみっこ」では、「こどもが自分で選び、考え、試すことができる遊びの時間」を大切にし、造形デザインの専門学校と連携した創作イベントを実施しました。本取り組みは、完成形や正解を定めず、こども一人ひとりの発想や興味を尊重した、主体的な遊びの環境づくりを目的としています。

現代社会では、多様な価値観の中で自分らしさを表現し、他者と関わる力が求められています。放課後の時間は、こども達が安心して挑戦し、失敗を含めた経験を積み重ねられる貴重な場であり、「やらされる活動」ではなく「自分で選ぶ遊び」が重要であると考えました。

当日は、創作バドミントン、射的、ブーメラン、リース作り、フレームアート作りなど、複数の創作体験を用意しました。いずれの活動も、手順や完成形を一方的に示すのではなく、こども達自身が「何を作るか」「どう遊ぶか」を選択できる構成としています。例えば創作バドミントンでは、既存の競技ルールにとらわれず、用具や遊び方を工夫しながら試行錯誤する姿が多く見られました。

創作に使用した素材は、当社廃棄物事業部が回収した廃段ボールを再利用しています。身近な廃材が遊びの素材へと生まれ変わる体験を通じて、こども達は自然と資源の大切さや環境への関心を高めていました。環境配慮を学習として教えるのではなく、遊びの中で体感できる点も本取り組みの特徴です。

安全面への配慮として、支援員7名と専門学校生17名が連携し、見守りとサポート体制を整えました。自由な発想を尊重しつつも、素材の扱い方や制作過程における危険を未然に防ぐため、適切な声かけや支援を行いました。専門学校生は、こども達のアイディアに寄り添いながら一緒に考える関わりを大切にし、主体性を引き出す役割を果たしました。

本イベントを通して、こども達は「自分で選び、つくり、遊ぶ」経験を積み重ね、創造力や自己表現力を伸ばす姿を見せてくれました。また、世代を超えた交流により、専門学校生にとっても学びのある時間となりました。今後ものみっこでは、こどもが主役となり、自由で安全な創造的あそびが広がる環境づくりを継続していきます。



【審査員コメント】

地域の資源(物だけではなく人も)とこどもたちの自由な発想を活かして活動している点がユニーク。こどもに関わる市民を増やしていくと言う点でも評価できる。


造形デザインの専門学校と連携し、こどもたちが「自分で選び、考え、試すことができる遊びの時間」を、創作体験を通して提供している事例です。専門学校生の見守りと寄り添いのもとで、こどもたちの創造力と自己表現が引き出される機会となっていることが伺えます。


取り組みはとても意義ある活動(あそび)である。安全管理に専門学校生17名と連絡している点も非常に良いと思う。但し、今回がはじめて取り組みであり単発事業に見える。今後、さらに継続して実績を重ね、再度の応募を期待したい。



【こども参画賞】


●団体名 豊田市放課後 児童クラブすずらん

●連絡先 愛知県豊田市松ヶ枝町3-30  

●活動歴(年) 9年

●受益者数(年間) 96名


●活動内容

高学年の声から変わった児童クラブ

― こどもとつくるルールと行事 ―

在籍児童数96名、1年生から5年生までが在籍する児童クラブ「すずらん」では、こどもが主体的にクラブ運営へ関わる仕組みづくりとして、高学年を中心とした話し合いの場を設ける取り組みを行いました。本取り組みは、こどもの意見を単に聞くだけでなく、実際のルールや活動に反映させることを目的としています。

本市の児童クラブでは、安全を最優先とするあまり、支援員が決めたルールを守らせることで児童を統制する運営が長く続いてきました。しかしその一方で、こどもが受け身になり、ルールの意味を十分に理解しないまま過ごしている様子も見られました。そこで、児童クラブをより過ごしやすい環境へと変えていく第一歩として、会社からの助言のもと支援員全員で協議を行い、まずは最高学年(当時)の児童から意見を取り入れる取り組みを始めました。

具体的には、月に一度「4年生会議」(実際には5年生も参加)を実施し、クラブのルールや行事について児童自身が話し合い、低学年の意見も含めて整理する場を設けました。話し合われた内容は支援員も真剣に検討し、実現可能なものは積極的に運営へ反映しています。

その結果、掃除の時間を一律に設けることを廃止し、やりたい児童が自主的に行う形へ変更しました。また、ドッジボールのルールを児童同士で統一したり、危険な場所を話し合って地図にまとめたりするなど、児童自身が「みんなが安全に楽しく過ごすための工夫」を考える姿が見られるようになりました。学習時間の見直しや、体育館での昼食会、フリーマーケット、宝探しといったイベントも、支援員主導から児童と支援員が一緒に企画する形へと変化しています。

こうした取り組みを通して、児童はルールを「守らされるもの」ではなく「自分たちで決めたもの」として自然に守るようになりました。その結果、注意や叱責の声が減り、支援員も余裕をもって児童と関わることができるようになり、クラブ全体の雰囲気が明るくなっています。保護者からも、クラブへの信頼がより厚くなったとの声が寄せられています。

児童からは、「自分の考えたイベントで、みんなが楽しんでくれてうれしかった」という声も聞かれました。本取り組みは、こども主体のクラブ運営を実践するものであり、今後も継続していきたいと考えています。


【審査員コメント】


子どもの自主性・自律性を促す取り組みである。子どもの権利条約にも対応していると思う。自ら考え、行動できる人材を育てることにつながると期待できる。月に一回の「会議」を実施しており継続性も認められる。受賞して良い事例と思われる。


やっていることは地味に見えても、こどもたちにとって「自分で決められる機会」があることは非常に重要であるし、すべての放課後の居場所においてそのような機会が設けられるためにも、こういった実践の積み重ねはとても大切だと考える。また、保護者からの共感が得られていることも素晴らしいことである。

大人主導でこどもが受け身の学童の状況への疑問から、子どもたち自身が話し合いルールを決めたり活動を企画したりする会議を月に一度設け、現場が変わっていった事例。一律の掃除の時間を廃止し、やりたい児童が自主的に行う形にしたこと、危険な場所を地図にまとめたことなど、具体的な仕組みの変更が挙げられていて、こどもたちの声が形になる様子がよくわかります。注意や叱責の減少、保護者の信頼の高まりなど、良い波及効果もあることが素晴らしいです。



【ウェルビーイング賞】


●団体名 社会福祉法人ひまわり福祉会 学育事業部

●連絡先 東京都板橋区小豆沢一丁目12番6号

●活動歴(年) 20年

●受益者数(年間) 3701名


●活動内容

ひまわり福祉会の学育事業部では、これまで「職員育成」と「職員の定着」が長年の課題でした。子どもたちの笑顔を願いながらも日々の業務に追われ、主体的な学びや挑戦の機会を持ちづらい状況にあったのです。

そこで私たちは、新しい育成の形として『キッチャレ(キッズチャレンジ)』を立ち上げました。これは“子どもたちが喜ぶ遊びを、大人も楽しみながら創り出す”ことを軸にした実践型です。8つのクラブが離れた場所にありながらつながり合い、1年間かけて挑戦する取り組みです。 このプログラムで大切にしたのは、「大人が楽しむ姿こそ子どもの笑顔につながる」という考えでした。身近な素材で遊びを考案し、子どもと対話しながら改良を重ねました。思い通りにいかない場面もありましたが、そこで初めて“自分たちで試行錯誤する面白さ”に気づいていきます。多くの職員が「PDCAは負担」と感じていましたが、遊びの実践を通して「もっと楽しくするには?」「どう伝えれば子どもにわかる?」と自然に問いが生まれ、学びの循環が動き始めました。

後半は各クラブで子どもと共に遊びを検証しました。大人が考えた遊びも、子どもの反応でルールが洗練され、新しい楽しさが生まれることもありました。対話が増え、関係性が豊かになったことは、多くが実感した変化です。 3月には8クラブをオンラインでつないだ全体イベントを開催し、施設紹介やゲームを通じて成果を披露しました。他施設の仲間や子どもたちから刺激を受け、画面越しに笑顔が広がりました。離れていても「つながっている」と感じられる体験は、子どもたちにとっても大きな喜びでした。 1年を通して職員の表情は明るくなり、受け身だったメンバーが積極的に意見を出す姿が見られるようになりました。苦手意識が強かった人も子どもの前で堂々とパフォーマンスをするなど、「自分の得意が仲間の役に立つ」という実感が自信と働きやすさにつながりました。オンラインでの協働を通じて横のつながりも深まり、相談しやすい関係が築かれたことは現場の安心感向上にも寄与しました。 振り返りでは、子どもたちから「またやりたい!」という声、職員からも「続けたい」「学び合えるのが楽しい」という前向きな声が多く上がりました。これは単なる研修ではなく、“子どもと大人が一緒に成長できる場”になったと感じています。 その結果、この取り組みを通して、子どもたちは仲間とつながり世界を広げ、大人は主体性が育まれ関わり方に余裕が生まれました。

私たちが大切にしている「和と輪と話」という理念は、互いに尊重し、つながりを生かし、思いを語り合って形にしていくという考えです。スローガンではなく、日々の関わりの中で判断とふるまいを整える“根”として働いてきました。これからもこの根を大切に、子どもと大人のウェルビーイングが息づく放課後を育てていきたいと考えています。



【審査員コメント】

複数の学童が連携する先導的取組である。大人も子供の楽しい活動に一緒に取り組むことで、さらに新たな発展が生まれている。子どもも大人も楽しそうな笑顔が印象的である。広域的に学童が連携・協働する取り組みは、他の地域への波及効果も期待できる。受賞して良い事例であると考える。


こどもたちだけでなく、職員も一緒に楽しみ、ともに作ると言う視点はどの施設にとっても大切な物であり、これからも続けてほしいなと感じました。


「子どもたちの笑顔を願いながらも日々の業務に追われ、主体的な学びや挑戦の機会を持ちづらい」という多くの現場が抱えている状況に対し、支援員が自らが楽しむことを重視し、遊びを考案してこどもたちにフィードバックを受けながら発展させる取り組みを通して、主体的な学び合いの関係性を育んでいった事例。大人が主体的に学び挑戦できる仕組みを組織に組み込むことは、どの現場でも重要かつ難しい課題であり、それを実践した本事例は素晴らしいと思います。



 
 
 

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